脱脂粉乳のタンパク質・脂質複合体による食品由来ウイルスに対する感染阻害機能の評価
脱脂粉乳中の糖タンパク質・膜脂質複合体の構成成分の同定と機能解析@名古屋大学大学院生命農学研究科(PDF 87(22/23))
5.脱脂粉乳のタンパク質・脂質複合体による食品由来ウイルスに対する感染阻害機能の評価
昨年度の研究により、脱脂粉乳中の糖タンパク質・脂質複合体にヒトロタウイルスの培養細胞への感染を阻害する活性が存在する可能性を示唆した。その阻害機構は、膜タンパク質と脂質、特に膜小胞の複合体は、細胞表面を模倣しており、ウイルスの細胞表面への接着や細胞膜との融合を競合的に阻害するものと推定される。このような感染阻害機能を評価するには、現時点では、感染力(増殖能)を持つウイルスを培養細胞や鶏卵などに感染させて、その増殖度を測定する方法でのみ可能である。しかし、感染力のあるウイルスを用いるには安全性や設備などの問題で簡便に行うことは難しい。また、食品由来ウイルスの中には、生体に感染した場合でのみ増殖し、培養細胞では感染・増殖しない種類のものもあり、この場合には、実験室レベルでの評価は困難である。
一方、ウイルスのコートタンパク質などのウイルスの粒子を形成するタンパク質をコードする遺伝子を動物細胞に導入して強制発現させると、各組換えタンパク質が自己会合してウイルス様の粒子を形成して宿主細胞から放出されることが知られている。このようなタンパク質会合体は、ウイルス様粒子(viral-like particle, VLP)と呼ばれ、DNAやRNAなどの遺伝情報物質を持たないが、電子顕微鏡観察によりウイルスと類似の形態を示すことが報告されている。
本研究では、食品関連のウイルスについてウイルス様粒子(viral-like particle, VLP)を作成して、腸上皮細胞への吸着・結合能を評価するモデル系の確立を目指して、実験を進めている。現在は、ウイルスタンパク質の発現用遺伝子コンストラクトを作成し、動物細胞に導入してタンパク質を発現させる実験まで進んでいる。今後、ウイルス様粒子の生産を確認し、脱脂粉乳中の糖タンパク質・脂質複合体のウイルス感染中和・阻害効果を解析していく計画である。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
最近のコメント