ウシα-ラクトアルブミンの新たな生物学的機能:エタノールおよびストレス誘発ラット胃粘膜傷害に対する保護効果
ウシα-ラクトアルブミンの新たな生物学的機能:エタノールおよびストレス誘発ラット胃粘膜傷害に対する保護効果@森永乳業
我々が日常摂取している乳タンパク質の中には、単に栄養としてだけでなく、生体調節機能(例えば、免疫調節、血圧降下、抗菌、カルシウム吸収促進活性など)を兼ね備えたものがあることが近年明らかになってきています。しかし、摂取した乳タンパク質(およびその消化分解ペプチド)が直接接触する場である消化管粘膜への影響について調べた報告はこれまでほとんどありませんでした。
著者らは、乳タンパク質本来の生理学的役割を解明することを目的として、消化管粘膜に対する作用に着目し研究を進めてきました。今回その一環として、牛乳中の主要タンパク質(カゼイン、β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン(α-LA)、血清アルブミン、免疫グロブリン)の抗潰瘍効果について、ラット急性胃潰瘍モデル(アルコール性およびストレス性実験潰瘍モデルの2種)を用いて調べたところ、α-LAに強力な潰瘍予防効果があることを発見しました。また、その作用機序について、内因性プロスタグランジン(胃粘膜の恒常性維持に非常に重要とされる)が一部関与していることを実験的に示しました。
α-LAは、乳腺内において乳糖合成酵素の一部として機能することが古くに報告されていますが、その他の生理活性についてはこれまでほとんど報告のなかった乳清タンパク質です(栄養学的特性は優れているものの)。ごく最近になり、α-LAにアポトーシス誘導活性や抗菌活性、血清コレステロール低下作用があることが報告されたところでした。
本論文により、この古くより知られているα-LAの科学に新たな一頁が刻まれ、消化管粘膜の恒常性維持という乳タンパク質の生理機能として非常に魅力的なテーマへと発展する可能性が示されました。
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